昨年9月から本校に留学していたアナイスさんはフランス人です。
この度、本校での留学生活を終えて、フランスに帰国することになりました。
フランス語はもちろん、英語も流暢であったため、私などが何かを伝えようとする時は、片言の英語でも通じたので、その点はずいぶん助かりました。
アナイスさんは日本語を勉強したいということで、週に1回、私が簡単な日本語を教えていましたが、教えるようになって、改めて日本語の難しさを痛感したのは言うまでもありません。
たとえば「言う」という動詞、丁寧な口調で「ます」を付けると「言います」。過去のことをあらわそうと助動詞「た」を付けると「言った」となります。
「ます」を付けると「言う→言い」に変わり、「た」を付けると「言う→言っ」に変わる。
これが「読む」なら「ます」を付けると「読みます」。過去のことをあらわそうと助動詞「た」を付けると「読んだ」。
「ます」を付けると「読む→読み」に変わり、「た」を付けると「読む→読ん」に変わる。
他にもいろいろと変化のバリエーションがあって、このバリエーションが外国人にとっては頭を抱えるほど難しいんだそうです。ある一定の規則に従って変化することは日本人ならわかっています。
しかし、外国人に教えるとなると、五十音の「行」と「段」が複雑に絡み合い、さらに「ん」や「っ」等の音便も絡んでくるので、より一層難しさを感じます。
習慣というのは恐ろしいもので、こういう複雑な文法体系を頭ではなく体で覚えている日本人、考えなくてもすらすらと出てくることに、ある意味不思議な感動を覚えます。
そんな難しい日本語と格闘してきたアナイスさん、全校生徒が集まった修了式では日本語で立派なスピーチを披露してくれました。
母国フランスに帰っても、日本での生活や北豊島での出来事を思い出してくれることでしょう。
アナイスさんのますますの活躍を心から祈っています。